2014年01月31日

タイには2つの仏教がある

「仏教を知ればタイ人のことをもっと理解できますよ。」
講師がそう話していたので、ここ数日、仏教に関する本を読んでいる。

「タイ仏教入門」
著者はタイ研究の大家「石井米雄」さん。
平易で読みやすい。
もっと早くに読んでおくべきだった。

タイ仏教入門 (めこん選書 1) [単行本] / 石井 米雄 (著); めこん (刊)

タイ仏教入門 (めこん選書 1) [単行本] / 石井 米雄 (著); めこん (刊)

「タイは仏教国だ」
と言う場合の仏教には2つの側面、すなわち出家集団(サンガ)の仏教と在家者の仏教がある。
そうであるにもかかわらず、仏教国とひとくくりにされるのには訳がある、というのが著者の主張だ。

もとより、上座仏教の本筋は出家集団のはずだが、
サンガが変わらず存続するには在家者の支えが必要となる。
しかし在家者は単に支えるのではなく、サンガを支持するメリットがあるというのだ。

それらが、発祥の地インドで消滅した仏教が、スリランカ、ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジアで、今なお確たる位置を占めている理由とのこと。

論理的な主張で、読んでいて心地いい。
在家者の仏教は、タンブンの宗教という点には思い当たる節がある。

「大部分の人々は、タンブンの宗教を、いわば与えられた生活様式として受け入れ、それに順応した日々を過ごしているのである。彼らにとって仏教とは、タイ的な生き方そのものであり、そのなかにおいて最も安らぎをおぼえるところの世界である。」p.182

まったくそのとおり。

ちなみに、タイ語学習に行き詰まったら、こちらがお勧め。

道は、ひらける―タイ研究の五〇年 [単行本] / 石井 米雄 (著); めこん (刊)

道は、ひらける―タイ研究の五〇年 [単行本] / 石井 米雄 (著); めこん (刊)



posted by arooy at 00:00| バンコク | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月14日

7ヶ国語をモノにした人の勉強法

7カ国語をモノにした人の勉強法 (祥伝社新書331) [新書] / 橋本 陽介 (著); 祥伝社 (刊)

7カ国語をモノにした人の勉強法 (祥伝社新書331) [新書] / 橋本 陽介 (著); 祥伝...

語学に関する中では、これまでで一番面白い本。
筆者は周囲の世界と言葉を結びつける必要性を説く。
音声と概念をじかに結びつけ、語感を身につけるのが大事という。
そうしない限り、いくら勉強しても外国語で話せるようにはならないのだそうだ。

タイ語能力の停滞を感じていた自分にとって、
「やはりそうだったのか」とうなずく指摘が随所にある。

テキストはどんなものを使ってもよく、コメディードラマがお勧めらしい。
そのドラマを短期集中で見続け、語感を一気に養うのが上達への近道とのこと。
この点、今の講師が日本語をものにした勉強法によく似ている。

そこで、”タイのドラマ”で検索し、教材を探す。
少し古いが「エアホステス」という番組がいいらしい。
早速、楽天レンタルで11巻まで手配する。
さて、どんなドラマか楽しみである。

posted by arooy at 00:00| バンコク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月24日

ミャンマーの農村

「ミャンマーの国と民」という本がある。

同書によると、ミャンマーの人口は約6,000万人。
うち村落に居住する人口は、その4分の3とのこと。
村に焦点を合わせた本は初めてなので、購入してみた。

ミャンマーの村と村人についての描写が詳しい。
墓についての話しなど、ビルマ語教室で教わったとおりだ。
しかし読み進めると、単にミャンマーの村を紹介する、
という本でないことが分かる。

日本の悪しき共同体の村を克服するには、ミャンマーの村落コミュニティーが、
参考になるというものだ。
そんな主張が、最後に出て来る。

あとがきでは、「民の公共」なんていう言葉が唐突に紹介される。
ミャンマーと日本の比較から、そんな考えが導かれるとは、意外だ。

公と私がダメだから、それを媒介する公共を提示したところで問題解決にならない、
という趣旨には賛同できる。

しかし、「民の公共」ならなぜ良いのか、まったく分からない。
公共と「民の公共」は、どこが異なるのか。
そもそも、公と公共は異なる概念なのか。
公がダメであれば、公を鍛えるしかなく、私を生かすための公でしかないのではないか。

そんな疑問が、頭の中をぐるぐると回る。
後半は読んでいて辛かった。
文体の暗さも馴染めなかった。

ミャンマーの国と民 [単行本] / 高橋 昭雄 (著); 明石書店 (刊)

ミャンマーの国と民 [単行本] / 高橋 昭雄 (著); 明石書店 (刊)


posted by arooy at 00:00| バンコク ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月28日

オクラからTPPを考える、その2

『日本の食と農−危機の本質(神門善久 著、NTT出版2006年)』の続き。

本書の前半は、消費者エゴが、いかに日本の食と農をダメにしてきたか、書かれている。
そして、中盤からは、農業に批判が向けられる。

農地の転用といえば、大都市近郊を想像するが、そうではないとのこと。
「農地を純粋に耕作目的で使っている人は例外にすぎず、
ほとんどの農家は転用で成金になることを心の片隅で、
密かに、しかし、しっかりと願って、農地に固執している。」
と衝撃的な文章が載っている。

農家にとって最高のシナリオは、農水省予算で農地の改良投資を行って優良農地とし、
その後、転用して大金を手に入れることなのだそうだ。

さらに、
「農地改良投資によって、農業生産性が上がる以上に、
転用価格が上がることは、農家の常識である。」
とも書かれている。

正直、びっくりした。
これでは、農業生産性が、上がるはずはない。

「農業に長けたのではなく、政治力のある者が、
濡れ手に粟の農地の転用収入を得る構造になっている。」

そして、農地改良投資、農地転用に便乗するのが土建会社であり、
土建会社と農水省との間に癒着が生まれる。
まじめに農業する人ほど馬鹿をみる仕組みが、出来上がっている。

ネットで検索すると、
ウルグァイ・ラウンド関連対策の検証(2009年3月)」
という農水省の資料が見つかる。

ウルグアイラウンドの際、農業対策として投入された額は、6兆100億円
うち、公共事業に、3兆1,750億円。
農産物の付加価値向上等のための施設整備で、1兆2,050億円。
両者の合計は、4兆3,800億円、全体の72.8%。

この数字は、何を意味するのだろう。
対策費で宴会場を建てたなどと、批判もされている。

そして資料には、次のような自己評価もなされている。
「農用地利用集積特別対策では、担い手への農用地利用集積面積は、
・・・目標面積に対し、46%とやや低水準。」

6兆円も使いながら、そのほとんどを公共事業にあて、
農地を集約して競争力を高める事業は、目標の半分にも届いていない。

開いた口がふさがらない。
いったい、誰が責任を取るのだろう。

posted by arooy at 00:00| バンコク ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月25日

オクラからTPPを考える

近くのスーパーで、オクラが安く売られている。
原産地はタイ。
沖縄産のオクラと比べると、値段は半値程度だ。

割高だが大きくて形のよい沖縄産か、
小ぶりで安いタイ産のどちらかを選ぶことができる。

では、TPPに日本が加盟したとたら、どうなるだろうか。
沖縄産のオクラは店頭から姿を消すのだろうか。

TPPに参加することで、日本の農業が壊滅して良いはずはない。
一方、日本の農業に問題がないとも思えない。
そんなことを考えていたら、農業についてまったく無知なことに気が付く。

そこで、『日本の食と農−危機の本質』を読んでみた。
(神門善久 著、NTT出版2006年)

読み始めて、すぐに衝撃を受ける。
予想に反し、筆者が最初に指摘するのは、消費者のエゴである。
日本の農業はもちろん問題を抱えているが、それ以前に消費者のエゴによって、
農業が歪められているという主張だ。

著者は、散発的な地産地消、グリーン・ツーリズム、
トレーサビリティ等に疑問の目を向ける。
有機農産物の推奨や、残留農薬問題も大事だが、
より重要なのは、日々の家庭団らんとのこと。

「健康のために必要な情報とは、あたり前の食事の中にある。」
という主張は、幼少期を振り返ってみれば納得がいく。
便利で短絡的で手間をかけない食生活こそが、食と農が崩壊する根源のようだ。

タイ産のオクラからTPPを連想し、重大な問題に行き着いてしまった。


日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉) [単行本] / 神門 善久 (著); NTT出版 (刊)

posted by arooy at 00:00| バンコク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月01日

ビルマの少数民族

「ビルマ民主化運動24周年記念デモ行進」なるものが、8月8日に行われるそうだ。
ビルマ情報ネットワークから得た情報である。

「少数民族居住地域への即時攻撃停止及び国軍の撤退」
という抗議項目があり、以下の説明が付け加えられている。
「特にカチン州においては2011年3月30日の「民政移管」より増して激しい戦闘が起きており、
多くの国内・国外避難民が発生しております。」

これを読んで、あの方々はどんな気持ちでこの情報に接しているだろう、とふと思う。
あの方々というのは、少数民族との関わりを書いた著者の方々のこと。

そのうちの一人は、高野秀行さんという探検部出身の人だ。
著者の「アヘン王国潜入記」、「西南シルクロードは密林に消える」、
「ミャンマーの柳生一族」を続けて読んだが、いずれもビルマの少数民族が関係している。
そのうち「西南シルクロードは密林に消える」が、カチンを扱った本だ。
知人の安否に気をもんでいることだろう。

高野さん文章で一番感動したのは、アウンサンについて書かれた箇所。
かなり抑制的に書かれているが、アウンサンに対して自分が漠然と抱いていた気持ちをピタリと表現している。
頷きながら、何度も読み返してしまった。

もう一人は、吉田敏浩さんという方。
この人もカチンと関わりが深く、「森の回廊」が有名である。
入手したものの未読なので、暇を見つけて読んでみたい本である。

アヘン王国潜入記 (集英社文庫) [文庫] / 高野 秀行 (著); 集英社 (刊)
アヘン王国潜入記

西南シルクロードは密林に消える (講談社文庫) [文庫] / 高野 秀行 (著); 講談社 (刊)
西南シルクロードは密林に消える

ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫) [文庫] / 高野 秀行 (著); 集英社 (刊)
ミャンマーの柳生一族


posted by arooy at 00:00| バンコク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月10日

アウンサン

ビルマ語に興味を持ったことから、ビルマの歴史が知りたくなった。
これまでビルマについては、タイの歴史を通して、断片的に理解していただけである。
しかし、言葉を学ぶ以上、どうしても歴史が気になる。
そこで、週末いくつかの本を読んでみた。
ピューやモン、バガン朝など、古い時代は置くとして、近現代では次の本がとても良かった。

『アウン・サン 封印された独立ビルマの夢』
ことに、アウンサンの素顔を描写した箇所が良い。
・内向的で学校へ行きたがらない子供だったこと。
・学生時代は非常に奥手で、ダサイ格好をしていたこと。
・来日中、箱根で世話をしてくれた英子さんに恋慕したものの、思いを伝えられなかったこと。
・ビルマへ進軍後、入院中に知り合った3歳年上の看護婦、ドオキンチーと電撃結婚したこと。

その他、ビルマ共産党議長の妻が、アウンサンの妻と姉妹だったというのは、面白いエピソードである。
また、写真で見る彼の顔は、何とも奥深い表情を見せている。
こういう面構えの人物は、今の日本にはいまい。
奥手でダサク、人懐っこく、忍耐強い 。

アウン・サン―封印された独立ビルマの夢 (現代アジアの肖像 13) [単行本] / 根本 敬 (著); 岩波書店 (刊)

昨年末、ヤンゴンのカンドーヂー湖畔に立つアウンサン像を見ていた際、
「生前の彼の顔にとてもよく似ている。」
と知人の旦那さんがつぶやいていた。
手には演説で読む原稿が握られており、何かを語りかけるような表情だった。
そんな英雄らしかぬところが、アウンサンが皆から支持された理由だったのでは、との印象が甦る。

1人の人間にスポットを当てた歴史は、その人物に過度に肩入れしてしまう恐れがある。
しかし入門書として大まかに理解するには、とても読みやすく、理解し易い。
ちなみに、最近発売された、『アウンサンスーチー 変化するビルマの現状と課題』も分かり易い本だった。

アウンサンスーチー  変化するビルマの現状と課題 (oneテーマ21) [新書] / 田辺 寿夫, 根本 敬 (著); 角川書店(角川グループパブリッシング) (刊)
posted by arooy at 00:00| バンコク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月25日

気になる本『世界史』

最近、世界史に関する本の売れ行きがいいらしい。
そんな記述を見かけたので、一番売れているというマクニールの『世界史』を読んでみた。
教科書では退屈な四大文明の箇所が、詳しく、しかも分かり易く書かれている。

タイに関する記述は、
「タイ諸族が北から南下してきてクメル帝国を倒し、
メコン川流域に、彼らのより好戦的で激しい支配を確立した。」
とだけある。
紀元前3,500年から書きおこし、紀元後1,500年あたりまでを1冊に納めると、この程度になるらしい。

けれども、大きく歴史をとらえると理解できることもある。
メソポタミアからインダス川流域へ伝播した文明が、さらに東へ進んでアンコールとして結実したようである。
その後、南下してきたタイ族がクメール人を駆逐していくことになる。
東南アジアに、なぜインドの影響が見られるのか初めて理解できた。

posted by arooy at 12:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月26日

語源の楽しみ、その2

『語源の楽しみ』が届いた。


危惧していたとおり、英語の語源について書かれていた。
多少がっかりしながら中身を見ると、そこは石井米雄さん的文章があふれている。
簡潔で分かり易く、読者に語りかけるような文体だ。


こんな調子で、タイ語の語源について書いてくれればよかったのにと、つくづく思う。


「単語を憶えるにはザルで水をすくう努力が必要です」
本の帯には、こんなことが書かれていた。
それほど努力をしないと、語学はマスターできないということだろう。
今も努力はしているが、まだまだ足りなさそうだ。

posted by arooy at 14:22| Comment(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月22日

語源の楽しみ

『語源の楽しみ』という本が「めこん」より出版される。
著者はタイ研究で有名な、石井米雄さんだ。
残念ながら約2年前に亡くなっている。

もしかして、タイ語の語源について書かれた本かと、確認もせず注文する。
しかし、ネットをさまよってみると、どうも違うような気がしてきた。

著者が神田外語大学の顧問をしていた際、本と同じタイトルでエッセイを書いていたようだ。
それを編集したものだとすれば、日本語に取り込んだ英語の語源ということになる。

少しでもタイ語について書かれていれば良いのにと、淡い期待とともに本の到着を待つ。

posted by arooy at 13:44| Comment(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。